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先日ブックオフにいったら「完全なる首長竜の日」がスタッフお勧めコーナで、100円でありました。良く見たら隣のコーナが100円でした。なんというミスディレクションでしょう。これは350円。
でも読んでみたくて、購入しちゃいました。ちなみにAmazonの中古なら1円からあるので、送料込で251円で購入できます。小説を読んだ感想とネタバレを書きます。
読み終わったあとしばらくして、このミスに選ばれた理由がはっきりわかりました。うわっ!!!思いました。でも私が読んで感じた内容は、Amazon等のレビューに皆無だったので、ちょっと書いてみます。
あらすじですがAmazonから引用します。
選考委員が即決した『このミス』大賞受賞作! テレビ・雑誌各誌で話題、その筆力を絶賛された大型新人のデビュー作、待望の文庫化です。少女漫画家の和淳美は、植物状態の人間と対話できる「SCインターフェース」を通じて、意識不明の弟と対話を続けるが、淳美に自殺の原因を話さない。ある日、謎の女性が弟に接触したことから、少しずつ現実が歪みはじめる。映画「インセプション」を超える面白さと絶賛された、謎と仕掛けに満ちた物語。Amazonの書評を見ますと、評価はバラバラです。良いという人もいれば、悪いという人もいます。万人受けする作品ではないようです。全体で見られる意見としては、表現や文章がうまいと評価しています。ついつい読んでしまう作品なのでしょう。
乾 緑郎
宝島社 (2012-01-13)
宝島社 (2012-01-13)
SF的な部分が良いという人もいれば、悪いという人もいます。オチが素晴らしいという人もいれば、最悪という人もいます。総じて、ネタが予測でき、ありきたりでつまらないというのは、皆が感じる部分かなとも思います。
さて私の感想は、何度も同じ描写や説明が出てきて、途中あきあきしました。オチも見えていて、1/3ぐらい読んだ時、昏睡しているのは弟じゃなくて、和淳美だなーと感じました。モタモタと話が進みません。17/20ぐらいまで進むと、やっと話が動き出しました。
謎の究明が進み、エンディングに向けて物語が集束してゆきます。そして最後にドンと追加の落ちがあり、物語が終わります。読み終わった直後は、ちょっと驚いたけど、安易などんでん返しで、しょうもない話だったと思いました。なんでこれがこのミスなのかと感じました。
レビューや評論を見ると、この部分について、それが良いだの悪いだの、書いてあります。
ここから、完全にネタバレになりますので、小説を読みたい人はご注意ください。
了読後、ジワジワと1人の登場人物が気になりました。
相原
精神科専門医。浩市の自殺の原因を探るべく、カウンセリングを担当している。
この人と和淳美が、食事するシーンが、一つの伏線として紹介されます。その会話の中に、相原がコーマセンターにいる理由として、<ポゼッション(憑依)>そっち方面の専門だからと話しています。
<ポゼッション(憑依)>に関して、SCインターフェースによるセンシング影響、一種の精神症状、高度なフィロソカルゾンビ、もしくは何かの条件を満たした時におきるかもしれないと、話しています。
相原は、それらを研究するために、コーマセンターに在籍しているとも読めます。
また和淳美には、身内がいません。そんな人が自殺未遂で昏睡して、10年間も施設にいられる理由は一つしかありません。実験体としてコーマセンターにいると考えるのが妥当です。
そう考えて物語を現実的に見ると、相原は、和淳美に対して幾度もセンシングを行い影響を調べたり(物語に同じ話が繰り返し出てくる点からも)、様々な精神的な揺さぶりを行い精神症状の影響を見たり(弟の自殺を見せたり、忘れていたことを思い出させたり)、フィロソカルゾンビを設定させることによる干渉を試したり(さまざまな登場人物を登場させたり)、それらの条件を組み合わせたり、実験していた物語だとも読むことができます。もしくは実験体が見る檻の中の夢の話です。
悪意の塊というか、和淳美を研究の対象としてしか見ていないと考えると、とても怖い話です。
wikiでミステリを見るともう、これは完全にミステリーです。
ミステリ (mystery) は、神秘的、謎、不可思議なこと。ミステリー、ミステリイともいう。 文学などフィクションのジャンルで「ミステリ」と言えば、事件や犯罪の問題解決への捜査を描いた推理小説などのミステリを用いた創作物を指すことが多い。超常現象やそれらを扱ったオカルト、ホラー、SFなども含めて呼ぶ場合もある(その場合、サスペンスと称されることが多い)。
最後のシーンのどんでん返しも、決して安易ではなく、むしろ納得。覚醒して目覚めてしまったら面倒なだけです。さらに妄想するなら、同じような実験台になっている人が複数いることが想像できます。過酷な実験を行い、そこでは本当に<ポゼッション(憑依)>が起きていたのかもしれません。そのためにさらなる実験を。。。。
ああ、ミステリです。
と感じているのですが、そう指摘している人がいないので、私の勘違いですかね。。。読み終わったあと、面白さを感じる小説でした。
Amazonレビューを引用すると、こんな意見が多いです。読者もミスディレクションしたまま。「完全なる首長竜の日」も夢の中のままなのかもしれません。
By silca
レビュー対象商品: 【映画化】完全なる首長竜の日 (『このミステリーがすごい! 』大賞シリーズ) (単行本)
基本的に面白みのない日常がメインで、最後のどんでん返しにだけ賭けたといった一作だが、
それはもう何度も使いまわされたネタで、少し本を読んでいる人間には何の衝撃もないだろう
まあこういった話を始めて読んだ人ぐらいは楽しめるかもしれない程度のでき
薄い本なのが救い
By おしろ -
レビュー対象商品: 【映画化】完全なる首長竜の日 (『このミステリーがすごい! 』大賞シリーズ) (単行本)
読みやすくすらすら読んだのですが……
SCインターフェースにまつわる様々なネタがとんでもSFだったので、最後でどんな収束を見せるのかと楽しみに読みました。
が、その収束の仕方にがっくり。
SFとしたら、今更驚くような構成でもなく。
漫画家の生活がリアルで秀逸という話もありましたが、特におもしろくもなく。
読み方が悪いのかなとも思いましたが、正直、どこをおもしろく読んだらいいのか……。
SCインターフェースネタがSF的にうまく収束してたら、おもしろかったのになぁとおもいました。
レビュー対象商品: 【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) (文庫)
正直、それほど印象に残る文章でもなく、ネタはディックのパクリでオチは読める、知識はウィキレベル……なのに、最後は引き込まれる。
思うに、しつこく、クドイまでの説明と伏線の繰り返し。基本をガチガチに固めたが故の完成度だろう。
確かに、読書に慣れた人間は、物足りなさを感じたり、あっさりネタに気付くだろう。
しかし、大多数の読書に馴染んでいない読者ニーズに対応しているのだと思う。
ただ、この手は2度は使えないネタだから、捨て身のネタかな。
それにしても、SFネタが文学寄りやミステリに流れてきている現状はSF市場衰退の結果ではないかと思えて悲しい。
By ラン丸 (茨城県)
レビュー対象商品: 【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) (文庫)
文章はうまいのでさらさら読めてしまいますが、
最後まで読んで、だからなに?ってかんじです。
海の描写とか、子どもの頃の弟の描写とか、きれいだけど、
ストーリーとしてはとくにオチもなく、だからなに・・・
としかいいようのない読後感でした。
なぜこれを映画化するかなー。
紫陽花 "玲瓏" (神奈川県相模原市)
レビュー対象商品: 【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) (文庫)
長期昏睡状態にある患者と意思疎通(センシング)するための"SCインタフェース"という装置(作者は仮想現実からヒントを得たらしい)が開発された世界において、漫画家であるヒロインが長期昏睡状態にある弟の自殺未遂原因を探求するという体裁の物語。
ヒロインの一人称で全編が綴られている。だが、患者はともかくとして、"SCインタフェース"使用中は健常者側も昏睡状態に陥る必要性があるとは何とも無茶な設定である。更に、"SCインタフェース"の使用体験によって、非使用期間中にも"意図しないセンシング"(作中では"憑依"と称している)が起こるというのだから、ヒロインの記述は全く当てにならないという事になり、物語の求心性を著しく殺いでいる。荘子の「胡蝶の夢」が何度も引用される事から、人生における"現実と夢の狭間"を1つのテーマに置いている様だが、このために"SCインタフェース"という装置をでっち上げた様に映り、何とも据わりが悪い。
そして、このテーマ・設定からオチが容易に類推出来てしまうのだから呆れる他はない。脳科学に関する知見も生半可な上に、物語構成手法も未熟というお粗末な出来で、取り柄が全く見当たらない作品としか思えなかった。